PICK UP ACTRESS 林愛夏
PHOTO=mika INTERVIEW=斉藤貴志
レプロエンタテインメントの若手女性タレントたちが浅草の劇場で繰り広げる舞台「ローファーズハイ!!」。その第三回公演が行われる。キャストから4人のリレーインタビューを掲載中。今回は第3弾。ベイビーレイズJAPANのセンターでもある林愛夏に登場してもらった。
ミュージカル女優の夢も胸に抱いて
舞台「ローファーズハイ!!」に出演
――愛夏さんといえばベイビーレイズJAPANのメインヴォーカリストですが、小さい頃は舞台「ライオンキング」に出演したり、子役として活動。自分のやりたことの変遷はどんな流れだったんですか?
「3歳の頃にジャズダンスから入って、『あっ、楽しい!』となってモダンバレエ、タップ、お芝居、歌とトン、トン、トン……って始めました。小学生になる前、6歳の頃からオーディションを受け始めて、昼ドラに出たり、床暖房のCMでダンスを踊ったり、ジャンルを問わず、いろいろなお仕事をやらせていただいたんですね。その中で9歳のとき、劇団四季の『ライオンキング』のオーディションに受かりました。1年間厳しい稽古を受けて視野が広がって、それまではスクールの中でセンターになろうと頑張っていたけど、『ミュージカルって楽しい! 歌いたい! 踊りたい!』という気持ちが強くなったんです。それで最初にできた夢がミュージカル女優でした」。
――そのために歌も踊りも演技も頑張ったんですね。
「たくさんミュージカルを観劇させてもらって、刺激を受けました。劇団四季を6年生のときに卒業してからは、友だちとフラッと遊びに行った『nicola』の開放日にレプロの方にスカウトされて、いきなりゴーンと急展開。またドラマや映画のお仕事をさせていただくようになりました。でも、そのときの私は学業を優先させたい気持ちが強くなっていたんです。高校に行って、大学に行って、その先は……くらいまで考えていたから、お仕事のほうは一度諦めました」。
――そしたら……。
「高校受験が終わってからベイビーレイズのお話をいただいて、芸能界に戻ることになりました。その頃は学校でたくさん勉強していたから、実はアナウンサーになりたいと思っていたのですが(笑)」。
――歌や演技ではないほうに気持ちが行ってたわけですか。
「はい。だけどアイドルとして歌ったり踊ったりすると、やっぱり楽しくて……。ベビレで5年間やらせていただいて評価していただくことも増えて、『誰が見ても良いと思ってもらえるパフォーマンスをしたい』と考えるようになりました。最近はバレエの教室やボイストレーニングにも通っています。今はまた、ミュージカル女優を目指す気持ちに戻ってきました。もちろんアーティスト活動も頑張り続けたい。積み重ねる時期だと思っているところです。そんな時期に『ローファーズハイ!!』に出られるのは、すごくありがたいです」。
――ベビレの活動をしながらも、どこかで舞台への想いはあった感じでしょうか?
「ありました。『ローファーズハイ!!』のVol.1で久々にお芝居ができて、子役のときは自分の感性で何となくやっていた面もあったから、ワークショップの形の稽古でちゃんと演技を教えていただいたのも、すごく大事な経験になりました。あと、『大人になったな』という感覚がありました」。
――共演したのが高校生や中学生だったから?
「それもありましたし、子役のときはいつもスタッフさんがついてくれていたんです。楽屋にお迎えに来てくれて、舞台袖まで連れていってもらって『行ってらっしゃい』でステージに出て、ハケたらまたスタッフさんがいて、楽屋に連れてきてくれる。今は大人なので、当然そういうことはなくて、自分で袖まで行ってタイミングになったら出て、終わったらハケる。私にはそれが新鮮で、遅めのスタートダッシュというか、ここからまた舞台の場数を踏んでいきたいと思いました」。
――演じたパイセンはアドリブを入れていく役まわりでした。
「即興芝居というのがテーマで、パイセンが一番アドリブを持ってこないといけない立場だったから大変でした。でも会場のお客様の力もお借りして、毎回本当に楽しくできて、アドリブでステージにいるみんなも驚かせたから、稽古より本番を通して仲良くなれました。『そう来る?』みたいな感じで向こうからもレスポンスが来て、面白かったですね」。
――我ながらグッジョブだと思ったアドリブは?
「タップの部活の話で、みんなが合宿に行くバスに乗って、パイセンは寝坊して遅れてくる場面があったんですね。みんなが『あっ、富士山』とかトークしているところに、パイセンは走ってバスに追いついて、窓を突き破って乗車するんですけど、どう走ってくるか、どう突入するか、バスにいるみんなとどう会話するかは毎回アドリブ。千秋楽のとき、バスに乗車したあと、ステージにパイプイスが並んでいるところを、ゴロン、ゴロンと転がってみました(笑)。イスを倒したりしながら何度も立ち上がって、1人で『アーッ!』とか叫んだのが楽しかったです」。
――客席も大ウケ?
「笑ってもらいました。転がれば転がるほど笑いが起きたから、いつやめたらいいのか、わからなくなりました(笑)。あとで観に来ていたファンの方に『めっちゃ面白かった』と言ってもらえたし、何コかアザができたけど、やって良かったと思いました。最初からそうしようと思っていたわけではなく、ステージに出る前にいきなり頭に降りてきてやった感じです」。
――見せ場だったタップは、最初に出たように経験あったんですよね?
「3歳から5歳くらいまでやってました。タイムステップぐらいでしたけど、10何年ぶりにタップシューズを履いて、基礎の練習は振付の先生と私でみんなに教えました。でも今は、私がお休みしていた間にみんなが新しいステップに入っていたりするので、逆に『ついていかなきゃ』という気持ちになっています」。
思い描く将来像から逆算すると
22歳ではいろいろ習得しないと
――中高生の後輩たちの中に入ると、先輩意識も強くなります?
「そうですね。私は子役の頃からお姉さんたちがいる環境で育って、部活も高2になるときに休部したので、後輩ができるタイミングをすり抜けてしまったんです。だから、どう接していいかわからないときもありますけど、すごく良い子たちで一緒に走ってくれています。ただ、私もベビレを始めたときは16歳だったのが、今は22歳なんですよ。やっぱり『年を取ったな』と思います(笑)」。
――村田寛奈さんも言ってましたけど、後輩たちが元気で?
「もう元気さが全然違います。今もタップを一緒に練習していますが、みんなはほとんど休まないんです。休憩と言われるまで水も飲まないし、すごくタフ。ベビレも体調を崩してお仕事を休んだことは一度もないから、タフだと思ってましたけど、メンバーは一緒に年を取るじゃないですか。『ローファーズハイ!!』では8歳とか9歳離れている子もいて、ずっとピンピンしていて、『これは自分の体力をうまく調整してやらなきゃ』と思いました。みんなと一緒のペースでやっていたら、たぶん最初のほうで力を出し切って、あとはペターンとなっちゃうので(笑)」。
――会話とかでもJKノリは感じます?
「感じますね。稽古場に入ったら聴いたことのない音楽がかかっていて、『女子高生の間でこういうのが流行っているんだな』とか……。自分ではそんなに差はないと思っていたんですけど、みんなが言う『卍(まんじ)』という言葉も知りませんでした。でも、面白いです。普段そういうのを知ることって、絶対ないじゃないですか。舞台のテーマも“女子高生”で学校のお話だし、自分も制服を着ますから、徐々に女子高生の頭を蘇らせたいです。まあ、自分が女子高生だった頃と今は全然違うから戸惑いますけど、みんなのことを知りながらできたらいいなと思います」。
――自分の高校時代はどうでした?
「私が高校生のときは、『やっと勉強できる』という感覚でした。ずっと芸能活動をしてきて、中3から勉強に没頭して、追い付くために1日14時間くらいやっていたんですよ。高校に入れてからも、クラスで1番を獲るためにずっと勉強していたので、エンジョイ・ハイスクールではなかったですね」。
――実際、クラスで1番になったんですか?
「なりました。放課後もラウンジで部活をやってる子と同じくらいまで勉強したり、朝もちょっと早く行ってやったり、そういうのが楽しかったです」。
――放課後は原宿で遊んだりはしなかったんですか?
「全然なかったです。ただ、原宿や渋谷には小さい頃から連れていってもらってました。ダンススクールのお姉さんたちと青山劇場で舞台を観た帰りに、表参道のカフェでお茶したり、プリクラを撮ったり……。でも、高校生の頃はもう『勉強したい』というだけでした」。
――この取材日時点で、Vol.3のストーリーや配役は決まっていませんが……。
「前回のパイセンのときは、稽古場での私がパイセン(先輩)、みんなが後輩という関係をそのまま舞台に持っていけて、みんなが私に先輩として向けてくれる眼差しに応えたいと思いました。それも楽しかったし、またやりたい気持ちもありますけど、今回は同じ立場の生徒になって、せっかくの金髪だから荒ぶってクラスをかき回す存在でもいいかな。今の私の性格のまま、金髪だけどメガネをかけて勉強していても面白いし、ベイビーレイズJAPANというアイドルにハマって歌い出すとか(笑)、どんなバリエーションにも対応していきたいです。お芝居はまだわからないことがいっぱいで、こういう場でしか学べないこともあるので、当たって砕けろで行きます」。
――制服はまだイケますよね?
「イケないですよ~(笑)。ヤバイです。現役の輝きにはもうほど遠いですけど(笑)、お芝居ではちゃんとなり切る覚悟はしています」。
――Vol.1での経験を踏まえて、取り組みたいこともありますか?
「べビレでステージに立つ感覚をお芝居でも持ちたいです。ライブでは自分を客観視して舵取りもできるんです。だけど前回お芝居していたときは、そこまでたどり着けませんでした。今回また場数を踏ませてもらって、終わったときに『つかめた』と思えたら一番ですね」。
――今回の舞台、愛夏さんはベビレの「エモフェス」を挟んで出演する形になります。
「大変だと思います。現時点で『落ち着け、自分』と思いながら稽古してます(笑)。でも、ここを乗り越えた先には成長した自分がいるはずだし、こうして毎日稼働させてもらえるのは幸せなことですから、どっちもただこなすのではなく、次のステージに立ったとき、『あのとき頑張ったことが活かせる』となるように心がけて、毎回のお稽古に挑んでいます」。
――うまく切り替えながら。
「そうですね。やることは多いんですが、今はそういう時期だと思います。自分の思い描く将来像から逆算すると、22歳は若くはないんです。もういろいろできてないといけないのに、できないことがまだある。そこを早く習得しないと。私は誉められて伸びるというより、たぶん注意されたほうがいいタイプなんです。自分をちょっと痛めつけながら(笑)、朝早く起きて『バレエに行ってこい!』と自分を奮い立たせて、それから仕事に行き、ミーティングして、『ローファーズハイ!!』のお稽古。休みなく動いていたほうが、活き活きできる感じがします」。
――舞台でもライブでもドンと来いと。
「はい! 若さでは負けますけど(笑)」。
――「思い描く将来像」というのは、ミュージカル女優の夢を見据えて?
「はい。いつか舞台に立ちたいです。私はディズニーが好きなので、ディズニー作品のヒロインの声優やミュージカルでマルチに活動されている神田沙也加さんに憧れています。そのためにも準備をたくさんしておいて、『この子は使える』と思ってもらえるようになりたいです。だから今回はとても大事な場数になるので、頑張ります」。
――充実した1年の締めでもあって。
「今までいっぱいいっぱいで行動に移せないことがあったのが、ベビレを5年やってきた事実が自信につながって行動に移せて、心境も技術面も変化のある年にできました。あとは『ローファーズハイ!!』と『エモフェス』でずっこけないように(笑)、気を引き締めて2017年を締めくくりたいと思います」。
林愛夏(はやし・まなつ)
生年月日:1995年7月14日(22歳)
出身地:神奈川県
血液型:A型
【CHECK IT】
幼少期から芸能活動を始め、2005年から2007年に劇団四季「ライオンキング」に出演。2012年5月よりアイドルグループ・ベイビーレイズのメンバーになり、同年9月に「ベイビーレイズ」でCDデビュー。女優としての出演作はドラマ「非婚同盟」(フジテレビ系)、「ぶらり松尾芭蕉」(フジテレビ・関西テレビ)、映画「ハナミズキ」、舞台「ローファーズハイ!! Vol.1」など。「熱波」(テレ玉/木曜23:30~)、配信番組「林愛夏の音楽準備室」(FRESH!/火曜21:00~)に出演中。12月16日(土)・17日(日)、22日(金)~24日(日)に「ローファーズハイ!! Vol.3」(浅草九劇)に出演。ベイビーレイズJAPANで3週連続ワンマン「EMOTIONAL IDOROCK FES. 2017」を開催。12月14日(木)新宿LOFT(女性限定)、12月20日(水)東京キネマ倶楽部(ファンクラブ会員限定)、12月28日(木)新木場STUDIO COAST。
詳しい情報は公式HP
舞台「ローファーズハイ!! Vol.3」
12 月14 日(木)~12月24日(日)浅草九劇
チケット発売中
出演:村田寛奈(12月14・15日、19~21日)、林愛夏(12月16・17日、22~24日)、佐々木七海、大森つばさ、百音、鎌田彩樺、吉原来華、奥田こころ(12月14・15日、19~21日)、山﨑果倫(12月16・17日、22~24日)、寒竹優衣(12月14・15日、19~21日)、清水夏帆(12月16・17日、22~24日)ほか
詳しい情報は公式HP