PICK UP IDOL ラストアイドル
PHOTO=逢坂聡 INTERVIEW=斉藤貴志
殺陣を取り入れたパフォーマンス
新曲「何人(なんびと)も」を発売
――夏に取り組んだ殺陣プロジェクトでは、「銀魂」や「進撃の巨人」のアクション監督を務めた田渕景也さんの指導を受けましたが、家での自主練もかなりやったんですか?
長月翠「素振りを1時間に100回やるようにしていました。慣れるまではすぐ形が崩れしまって、難しかったです」。
西村歩乃果「私は素振りをとりあえず疲れるまでやって、疲れたら休憩して、もう1回やるのを日課にしていました」。
安田愛里「私も一気にではないですけど、だいたい250回を2~3セットやりました。昼間は人通りが多いから部屋でやって、夜の11時とか12時になったら近くの駐車場に行って。その時間でもまれに人が通って、明かりが(センサーで)つくので、木刀を振り回していたら怖いじゃないですか(笑)。だから、何ごともなかったように『お疲れさまです』と言ってました」。
――菜々実さんは「ラスアイ、よろしく!」でティッシュ箱を使った練習を見せてました。
阿部菜々実「家では木刀を止める練習をするように言われたので、ティッシュ箱を置いて、当たらないように振ってました」。
長月「家だと木刀が天井に当たってしまうので、腕を上げすぎないで腰を低くしてやっていたら、自然に型が鍛えられました」。
西村「私は部屋の壁に木刀で穴を開けてしまいました(笑)。振ったら空気を切る音が聞こえるようになったのが嬉しくて、より聞こえるように、風が出ているエアコンに近づいて振ったんですね。そしたら、木刀の先端が壁に当たってしまって。完全に調子に乗ってました(笑)」。
安田「私の部屋は狭いので、鏡台やクロゼットに当たって、木の部分が欠けちゃって『あーーーッ!!』となりました(笑)。部屋の一面はダンスの練習用に鏡張りにしてあるんです。手が滑ってガラスが割れたら大変だから、慎重に振って、家で練習するほうが集中できました」。
――それだけ練習したら、体のどこかが痛くなったりも?
西村「手のひらにマメができて痛かったです」。
安田「私は定期的にジムに通っているので、そっちで筋肉痛になったあと、殺陣の稽古をするのがきつかったです(笑)」。
阿部「練習の最初の2回くらいは、腕が付いていけませんでした。特に右腕は筋肉痛を通り越して感覚がなくなって、力が入らなくなって。夜寝るときに『一生治らないんじゃないか?』と不安になるくらいでした。あと、スタジオでは裸足で硬い床の上で練習したので、足の裏の皮が剥けました。走って打ち込んでいくとき、ズルッと一気に剥けてしまって、普通に靴を履いて歩くのも痛くて大変でした」。
――その分、筋肉が付いたりもしました?
西村「私はもともと筋肉質で、すぐ付いちゃうんですけど、殺陣を始めてから腕がムキムキになりました(笑)。よく腕まくりして、筋肉自慢をしています」。
長月「私は人生で顔に汗をかいた経験がなかったんです」。
――そんなこと、ありますか?
長月「本当に汗をかかない体質なんです。夏の野外ステージでも全然。それで『頑張ってない』と言われたこともありましたけど、どう頑張っても汗は出ないから悔しくて。でも、殺陣を始めてから代謝が良くなったのか、急に汗をかくようになりました。初めて顔に汗が流れたときの喜びはすごかったです」。
――9thシングル「何人(なんびと)も」のMVでは、本格的なアクションシーンで成果を見せていますが、皆さんの感覚としても、思い通りの殺陣ができるようになりました?
西村「立ち回りを覚えるのは早くなりました。田渕先生が見本を見せてくれて、その場で『できるか?』と聞かれると、とりあえずやってみたら意外とできちゃって」。
――アイドルさんは振りをすぐ覚えますよね。それと同じような感じ?
西村「私はダンスも覚えるのが遅くて苦労しますけど、振りは正面のお客さんに向かってやるじゃないですか。立ち回りは正面がないんです。敵は後ろからもかかって来るし、どこを向いていいのかわからなくて、『あれ?』となってました。でも、最近はそういうことにも慣れてきました」。
安田「みんなどんどん上達して立ち回りが速くなって、自分がリズムを崩すと相手に迷惑を掛けたりケガをさせてしまうので、何とか食らいついて、脳みそに動きを叩き込みました。だから、お魚を食べるようにしています」。
――「だから」って、立ち回りの話がどう魚に繋がるんですか(笑)?
安田「お魚を食べると、もの覚えが良くなると聞いたので」。
――あっ、DHAが含まれているから?
安田「最近、脳みそをたくさん使うので、お魚はいっぱい食べようと思っています。お寿司もよく食べたくなります(笑)」。
「命を賭けても」という気持ちになって
歌わなきゃいけない曲だと思いました
――歩乃果さんは殺陣プロジェクトが始まるとき、オーディションバトルで決まった前作「愛を知る」の立ち位置7番からの“下剋上”を掲げてました。実際、センターの隣りになって、CDのラスアイ盤のジャケットではセンターに立ちました。
西村「目標は達成できたと思います。『やったー!!』って感じです(笑)」。
――ただ、下剋上といっても、歩乃果さんはもともと、グラビアやSNSなどを通じて、ラストアイドルで屈指の人気を持っていますよね。その上で、やっぱり歌でのポジションも重要なことではあったんですか?
西村「マルチに活動している分、今までは『アイドルで目立たなくてもいいや』と考えていました。ポジションにも別にこだわりはなくて。でも、それはたぶん、1列目の端っこにいられたから、無意識に満足していたんです。『愛を知る』で2列目になったときに物足りなさを感じて、『これじゃ嫌なんだ』と初めて自分で気づきました。『やっぱり1列目に戻りたい』という気持ちになったので」。
――個人での活躍とは別に?
西村「『西村歩乃果って何者?』という話になったとき、ユーチューバーとかティックトッカーと言われることが多くて、自分でもあまりアイドルとは言ってこなかったんです。でも、今はちゃんと胸を張って『アイドルです』と言いたいし、言うからには結果を残したい。ポジションも良くないとダメじゃないですか。だから、目立てる場所に立ちたいです」。
阿部「ほのぴー(西村)は何でもできるから、ラストアイドルにとって大切な1人で、グループでの活動に前向きなことを言ってもらえると、すごく嬉しいです。でも、ほのぴーが本気を出したら、誰も勝てないと思います」。
安田「絶対的な存在だし、マルチに活躍できる人はほんのひと握りだから憧れます。ラストアイドルの先陣を切って引っ張ってほしいし、私はついて行きます(笑)」。
――翠さんは歩乃果さんと“Wエース”的に言われることもあります。
長月「ライバルみたいな構図を作られがちですけど、私にはそんな気持ちはなくて。たまにライブとかでシンメ(シンメトリー)になると、背格好が似ていて、身長の低さを気にしないで良くなるんです」。
西村「センターのななみん(阿部)が大きいので、私が一気に1人で隣りに行くと、ボコッとなっちゃうんですよ(笑)。私とみーたん(長月)は身長が同じくらいで、似てるところもあるから、バランスが良い感じがします」。
長月「安心感がある」。
西村「扱いも似てます。2人とも先生に怒られやすいタイプ(笑)」。
長月「今回の殺陣もそうでしたけど、いつも(ランク分けの)Bクラスに西村、長月と入っていて」。
西村「隣りにいて一緒に怒られるので(笑)、『できないのは自分だけじゃない』と楽になれますね」。
長月「MCもたくさんしゃべってくれるし、何をやっても乗ってくれて、とても助かります。でも、阿部が言うように、ほのぴーがアイドルに全精力を掛けたら、誰も手も足も出ません。頑張ってついていけるようにして、逆にほのぴーから『みーたんとシンメがいい』と言ってもらえる存在になれたらと思います」。
――歩乃果さんはBリーグの会場で殺陣のパフォーマンスを披露したときに重要な役で台詞もあって。これからは演技もやっていくんですか?
西村「演技に関しては、私がみんなについていきます。(阿部、長月らが主演した)『がっこうぐらし!』も観ました」。
長月「あれを観ても、演技の参考にはならないよ(笑)」。
西村「でも、自分がずっと演技を拒絶してきた分、すごいなと思います。殺陣のパフォーマンスのときも、愛里ちゃんが台詞を言うシーンで先生に『これを言って』みたいに言われると、すぐ対応していたので憧れます」。
――「何人(なんびと)も」の曲のほうも、「何人(なんびと)も傷つけたくはない」と歌いながら、戦いに赴く武士をイメージさせる感じで、カッコイイですね。
阿部「私は『この命 捨ててもいい』のところが一番印象に残りました。自分の命を賭けても守りたいものとか、今の時代に考えませんけど、昔の人たちは本当にそう思って戦っていたんだろうし、『生を受けたその瞬間(とき)から 死に方探すもの』とか、すごく強くて。この曲はそんな気持ちになって歌わなきゃいけないと思いました」。
長月「最後の『どうしても 僕は今 行かなきゃいけない』のところは、言葉もいいですけど、その後のアウトロがめっちゃ短いんです。歯切れが良くて『目指すべき場所に行ったんだ』という感じになるので、ここはすごく好きです」。
西村「サビの最後の『さもなけりゃ僕は剣を抜くしかない』というところは、殺陣とすごく合っているし、ダンスともマッチしていて、より深みが増します」。
安田「私は自分が歌ってるパートで『怒りは連鎖するだけで何も生まない』というところが、本当にその通りだと思いました。今は自粛とかもあって、どこにもぶつけられない感情を持つことも多いですけど、怒りをどこにぶつけても良い結果を生まないというか。それより自分で行動を起こすことが大事だということが、この歌詞には含まれていて」。
――そこはむしろ現代を反映していますよね。
安田「今は思い描いていることがスムーズにできない状況ですけど、だからこそ、この力強く語り掛けるような歌詞は大切にしたいと思いました」。
――最後に話は変わりますが、皆さんは「Nizi Project」は観てました? 同じオーディション出身のアイドルとして、感じたことはありますか?
西村「私は観てました。でも、レベルが高すぎて。このくらいのパフォーマンスができたらいいなと思って、一時、筋トレを真似してやってました」。
安田「ラストアイドルとはスケールが違いますけど、一番年上の子でも私より2個下とかで、みんな若くて。それで1年近くオーディションをやって、韓国での6カ月の合宿もあったじゃないですか」。
――そうでしたね。
安田「私はラストアイドルの入れ替えバトルの3カ月間、家から通っていても本当にきつくて、精神的に持っていかれるところがかなりありましたけど、『Nizi Project』のみんなは厳しい環境にいながら、デビュー前からいろいろなものを乗り越えて向上し続けて、ただただ尊敬します。あと、プロデューサーのJ.Y.Parkさんの言葉が、すごく自分に刺さりました。人として何が大事かを語り掛けていて、勝手に感銘を受けて、『初心を忘れないって、こういうことだな』と影響を受けました」。
――ラストアイドルは今回の殺陣のように、次々といろいろな企画に挑戦するグループとなりました。
阿部「“歩く芸術”のときは『何でこれが必要なんだろう?』と考えましたけど、ラストアイドルにいる以上、やらないといけないことなので、アイドルに必要かどうかより、普通はできない良い人生経験として捉えたら、今回の殺陣も気持ちは楽になりました。『やって損することはないから、やろう』という」。
――これからも、どんな企画でもドンと来いと?
阿部「そういうわけでもないですけど(笑)」。
西村「モノによりますね(笑)」。
安田「ラストアイドルにプラスになるなら、やりたいです」。
西村「私は水系は嫌です。『すっぴんで来い』みたいになると思うので(笑)」。
長月「企画があると成長が目に見えてわかる分、今年は殺陣しかなかったから、不安になっちゃいます。でも、もう運動系は勘弁してほしい(笑)。私、運動神経がめちゃくちゃ悪いので。次はみんなでミュージカルをできたらいいなと思います」。
ラストアイドル
2017年8月よりスタートしたテレビ番組「ラストアイドル」から、メンバー入れ替えバトルで勝ち残ったメンバーにより、同年12月に秋元康プロデュースのシングル「バンドワゴン」でメジャーデビュー。同時に敗退したメンバーで4組のセカンドユニットが誕生。2018年4月からの3rdシーズンで、再び入れ替えバトルにより2期生が決定。これまでに8枚のシングルをリリースしている。
【CHECK IT】
9thシングル「何人(なんびと)も」が11月4日(水)に発売。「ラスアイ、よろしく!」(テレビ朝日系/金曜25:20~)が放送中。
詳しくはラストアイドル 公式サイトへ
阿部菜々実(あべ・ななみ)
生年月日:2002年5月17日(18歳)
出身地:山形県
血液型:O型
長月翠(ながつき・みどり)
生年月日:2000年5月17日(20歳)
出身地:愛媛県
血液型:O型
西村歩乃果(にしむら・ほのか)
生年月日:1995年1月28日(25歳)
出身地:神奈川県
血液型:A型
安田愛里(やすだ・あいり)
生年月日:1999年6月24日(21歳)
出身地:神奈川県
血液型:O型
「何人(なんびと)も」
初回限定盤A(CD+DVD) ¥1,834(税込)
初回限定盤B(CD+DVD) ¥1,834(税込)
ラスアイ盤(CD) ¥1,019(税込)
WEB盤(CD) ¥1,019(税込)
「何人(なんびと)も」MVはこちら!