PICK UP ACTRESS 優希美青
PHOTO=松下茜 INTERVIEW=斉藤貴志
映画「10万分の1」に出演
アネゴ肌で難病の親友を支える
――今年はステイホーム期間がありました。
「今もお休みは家にいることが多いです」。
――寂しがり屋の美青さんとしては、つらいものも?
「そうですね。だから最近、『名探偵コナン』以外のアニメも観るようになりました。『進撃の巨人』、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、『ヒナまつり』……」。
――映画が大ヒット中の「鬼滅の刃」も?
「『鬼滅の刃』はTVアニメが始まった頃から観ていて、その他は自粛期間中に観始めました。アニメが好きな友だちにオススメを聞いて、『鬼滅』もその子に教えてもらいました」。
――特に面白かった作品というと?
「『かくしごと』ですね。“隠しごと”と“描く仕事”を掛けていて、エッチな漫画を描いている漫画家さんが、自分の娘にその仕事をバレないようにしているお話です。あと、『コードギアス 反逆のルルーシュ』も面白かったです」。
――自粛中は「名探偵コナン」の工藤新一の家(ペーパーハウス)も作ったそうで。
「あれは意外と時間がかかったんです。子どもでも作れるように簡単なのかと思ったら、すごく難しくて、1日がかりになりました」。
――ずっと家にいて、考えたことはありました?
「2カ月くらい、まったく仕事をしてなくて、『お芝居をしたいな』とすごく思いました。今までは意識していなかったけれど、自分は本当にお芝居が好きだったんだと気付きました。自粛明けのお仕事は楽しかったし、いつも以上に力が入ったかもしれません」。
――映画「10万分の1」では、難病のALSに苛まされる主人公の桜木莉乃(平祐奈)を支える親友の橘千紘を演じました。髪を分けて、おでこを出した髪型は美青さんには珍しいですね。
「最初は違和感しかなかったです(笑)。私はおでこを出すことが嫌いだったので。苦手とかイヤではなくて、嫌い(笑)。眉毛がコンプレックスなんです。だから、おでこを出すと言われたときは『せっかくの映画なのに』と思ったし、現場でもトイレに行って鏡を見るたびに『老けた?』みたいな(笑)。でも映像で観たら、そんなに違和感なくて、『あっちのほうがいい』と言ってくれる人も多かったです」。
――そうでしょうね。千紘はキャラ的にはサバサバした感じで。
「アネゴ肌で、いい子だなと思いました。みんなのお姉さん的な存在で、親友の莉乃を大好きで、過保護なくらい大切にしていて。だから、莉乃に彼氏ができたときはすごく心配して、お節介な部分もあったくらい。莉乃のお母さんみたいなお姉ちゃんのように感じました」。
――彼氏の比名瀬祥(白洲迅)のことは尻に敷く感じですね。「勝手に食べんな!」とか言ってたり。
「私も『○○くん、好き~♪』みたいなのより、ああいうほうがいいなと思います。そんなカップルのほうが、上手くいく気がするので。莉乃と桐谷蓮(白濱亜嵐)くんは2人ともお付き合いが初めてだから、最初は初々しい感じがかわいいけど、いずれは比名瀬と千紘みたいになっていくんだろうなと思いました」。
――総じて、千紘は演じやすい役だったわけですか?
「はい。親友役が本当の親友の祐奈だったから、その部分で役作りをする必要はまったくなくて、楽でした」。
――逆に、普段の付き合いが深い分、役として接するのが難しい面はありませんでした?
「余計に感情移入しすぎてしまうところはありました。トイレのシーンで祐奈が目の前で震えているのを見たとき、千紘としては励まさないといけなかったんです。その前に莉乃に病気のことを打ち明けられたとき、泣いちゃったのを後悔していたから。『私が支える』と決めていたのに、あの場でまた泣いてしまったのは、相手が祐奈だったから我慢できなかった部分があります。『うちの祐奈が……』みたいな気持ちになってしまって」。
――その病気のことを打ち明けられたシーンは、映画では蓮の目線で、千紘の顔は映っていませんでした。
「現場では号泣してました。引きと寄り、顔が見える角度と見えない角度と、いろいろなパターンで何テイクも撮って、全部泣いていて。たぶん顔は映らないとわかってましたけど、祐奈に目の前で『私、ALSなんだ』と言われて涙が止まらなくなりました。やっぱり親友だったからだと思います」。
――平祐奈さんとは、2年前のドラマ「ミューブ♪~秘密の歌園~」から?
「そうです。私は初日から仲良くなることは100%なかったんですけど、祐奈とは最初からでした。撮影が深夜までかかって、私は夜型なのでテンションが上がって、おかしなキャラクターになるんですね(笑)。待ち時間に祐奈に『何が好きなの?』と聞かれて、『コナンくんが……』という話が止まらなくなっちゃったんですけど、面白いと思ってくれたみたいです」。
――引かれかねないところで(笑)。
「すごいですよね(笑)。それから仲良くなって、アップする頃には『プライベートで、ずっと会いたい』とお互い言い合って、実際に遊んだら、やっぱり楽しかったんです。その後は、地方に行ってるとき以外は、なるべく会っていました。コロナが広がってからは全然会えなくて、最初はすごいストレスで大変でした」。
――LINEとかはしていたんですよね?
「してました。電話もよくしたし、Zoomで話もしましたけど、やっぱり会えないのは寂しくて、2人で泣きながら『会いたいよ~』と言ったり、彼氏と彼女みたいな感じでした(笑)」。
――さっき、彼氏とは「好き~♪」みたいな感じではないほうがいいと言ってませんでした(笑)? でも、それだけに「親友が難病になったら……」というイメージも、リアルになったんでしょうね。
「考えさせられました。目の前で親友が演技とはいえ病気で苦しんでいる姿を見て、これが現実だったら、私も千紘と同じように、どこまでも支えてあげたいと思いました」。
私も役と同じでお節介の世話焼きで
友だちが泣いていたら飛んでいきます
――難病までいかなくても、友だちが困っていたら、手を差し伸べるタイプ?
「そうですね。電話が来て泣いていたら、夜中でも『ちょっと待ってて』と会いに行っちゃいます」。
――やさしいんですね。
「たぶん私も千紘と一緒で、お節介で世話焼きなんです。恋愛相談もよく受けて、私はアドバイスはできないので、ひたすら話を聞きますけど、『どう思う?』と聞かれたら、『いいと思うよ』とか『私だったらやめとくかな』とか話します。でも、『部屋を片付けないとダメじゃない』というお節介はしません。自分も家事はしたくないので(笑)」。
――自分の部屋はどうなっているんですか?
「床には絶対物を置かないと決めています。でも、帰ってきたら机の上に物を置くので散らかりがちです。だから、イヤリングやハンコをなくしがちです(笑)」。
――「10万分の1」の劇中では、千紘の誕生日パーティーのシーンもありました。尺はあまりありませんでしたが、撮影では盛り上がったんですか?
「普通に楽しかったです。ただ、私たちは完全にケーキを食べるつもりでいたんですけど、撮影では触れもしないで、『はい、カット。お疲れさまでした』と言われちゃったので、『あっ、じゃあ、帰ります……』となったのが心残りでした(笑)」。
――今年の4月5日の、美青さんのリアル誕生日はどうだったんですか?
「前の日に京都での撮影から帰ってきて、その何日か後に緊急事態宣言になってしまったんですよね。だから1人で家にいました。5月に自粛が明けてから、友だちと『気をつけながら軽く会おうか』となったんですけど、私の誕生日のことは完全に忘れ去られていました(笑)」。
――千紘は料理も上手いようで、お弁当の玉子焼きをつまみ食いした比名瀬が絶賛してました。
「私は人生において、お弁当を作ったことはないです(笑)。でも、玉子焼きは自粛中にチャレンジしました。最初は卵を二つ片手で持って、カンと当ててパカッと割れたので『カッコイイ!』と満足しちゃったんですけど(笑)、しょっぱい派の玉子焼きを作れるようになりました」。
――「10万分の1」の撮影で、他に特に覚えていることはありますか?
「体育祭のシーンが一番楽しかったですね。自分が最後に体育祭に出たのが中1か中2だったので、『高校の体育祭ってこんな感じなんだ』という。二人三脚で比名瀬と千紘のチームはダントツで速く走るように監督から言われて、私たちは全力でやっていたのですが、練習では『全然遅い』と言われてしまって。それで本番直前に白洲さんと覚悟を決めて全速力でダッシュしたら、『すごく速い!』と誉めていただけました」。
――美青さんが運動系で誉められるのは珍しいのでは(笑)?
「あの一瞬に賭けました。転ばなくて良かったです(笑)」。
――撮影の中で、「自分自身が難病になったら……」とは考えました?
「莉乃みたいにやりたいことのリストを書くのかな、と思いました」。
――どんなことをやりたいと?
「今だったら、鳥取に行きたいです。もう一回、コナンくんの記念館(青山剛昌ふるさと館)に行って、グッズを買って、鳥取砂丘コナン空港でいっぱい写真を撮ってきます。出雲大社にも行って、お礼を言って帰ってきます」。
――結局コナンなんですね(笑)。さしあたって、今年の残り1カ月でやりたいことはありますか?
「そろそろ服の整理をしたいと思っているんですよね。私は物を捨てられなくて、小4のときの服がいまだにあるんです」。
――さすがにもう着られませんよね?
「それが着られるんです。身長が小5で止まって、小4の頃から、だいたいこれくらいのサイズだったので、全然着られるし、実際たまに現場に着ていきます」。
――サイズはともかく、子ども服みたいな感じではないんですか?
「小学生用だと思われる服は、たぶんないです。昔から顔が周りの子より大人っぽくて、お母さんが合う服を買ってくれたので。でも、そろそろ断捨離してもいいかなと」。
――物を捨てられなくて、小4の頃の服から持ってるということは、クロゼットがパンパンなのでは?
「はい。中1でデビューしてから、たぶん服を1回も捨ててないので。私服を自分で買うことはあまりないんですけど、それでも年に4~5着は増えますし」。
――冬のお楽しみはありますか?
「冬は夏より好きです。クリスマスとかお正月とか、イベントがあるので。イルミネーションを見るのも好きです。友だちが去年ドイツ村に行って、すごく良かったらしくて。今年は祐奈と行けたらいいなと思ってましたけど、まだ難しいかもしれないので、いつか実現するといいなと思っています」。
――地元ではイルミネーションがきれいなところはあります?
「まったくないです。スーパーのツリーがチカチカしているくらい(笑)」。
――来春には、W主演した映画「NO CALL NO LIFE」が公開されます。ホリプロ60周年記念作品を託されたということで、事務所の期待も大きいんでしょうね。
「飛躍できるように頑張ります。でも、私はやったものがひとつひとつ評価されて、また次のお仕事に繋げていけるようにしたくて。芝居のスキルを1個1個上げて、焦らず着々と行きたいと思います」。
優希美青(ゆうき・みお)
生年月日:1999年4月5日(21歳)
出身地:福島県
血液型:O型
【CHECK IT】
2012年に「第37回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを受賞。2013年4月にドラマ「雲の階段」(日本テレビ系)で女優デビュー。主な出演作は映画「でーれーガールズ」、「ちはやふる-結び-」、「ママレード・ボーイ」、「うちの執事が言うことには」、「GOZEN-純恋の剣-」、「WALKING MAN」、ドラマ「あまちゃん」(NHK)、「マッサン」(NHK)、「デスノート」(日本テレビ系)、「赤ひげ3」(NHK BSプレミアム)など。映画「10万分の1」は11月27日(金)より全国ロードショー。来春公開の映画「NO CALL NO LIFE」に主演。
詳しい情報は公式HPへ
「10万分の1」
詳しい情報は「10万分の1」公式サイトへ
(C)宮坂香帆・小学館/2020映画「10万分の1」製作委員会